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‘親権’ カテゴリーのアーカイブ

親権(その1) ~父親は親権を取得できないのか?~

2010年6月29日 火曜日

おかげさまで、e離婚相談室では、日々多くのご相談をいただき、所員一同大変忙しくさせていただいております。
法律事務所が繁盛することは、まだまだ社会に多くの問題や不幸が存在することの証左といえますので、一概に喜んでいいことではないのかもしれません。しかしながら、無事問題が解決し、お客様の晴れ晴れとした表情に出会うと、やはり、日々の忙しさの中に、弁護士として、ふと大きな喜びや充実感を感じてしまいます。
離婚問題に悩む皆様の少しでも力になれるように、これからも全力を尽くしてまいりますので、今後ともe離婚相談室をどうぞよろしくお願い致します。

さて、今回は、無料レポートをダウンロードいただいた方からのご質問についてのコラムです。

『子どもがまだ小さいのですが、やはり、この場合、父親は親権を取得することはできないのでしょうか?』

親権問題でご相談にいらっしゃる方は、父母ともに大変多いのですが、相談者が父親の場合、特に子どもが幼いケースでは、上記のように、はなから親権の取得を諦めてしまっていることが大抵です。逆に、母親の相談者の場合には、「母親である」というだけで、必ず親権は取得できるものと思い込んでいる方が多いのが印象的です。
確かに、親権の所在についての家庭裁判所の判断基準には「母性優先の原則」という基準が存在しており、特に乳幼児期の場合には、この基準が強く働くと言われています。
しかしながら、この基準があるからといって、子どもが幼い場合に、必ず母親の側に親権の取得が認められるというわけではありません。母親の側の環境に、子どもの監護を続けていく上での問題が多く見受けられ、これに対し、父親の側の監護環境にこれといった問題が認められない場合には、子どもの年齢に関わらず、父親の側に親権の取得が認められるのが通常です。
つまり、裁判所は、父母の監護能力や経済状況、従来の監護状況といった父母双方の事情や、子どもの心身の発育状況や子ども自身の意思といった子どもの側の事情等を比較検討し、子どもの福祉にとって、父母どちらの下で監護されるのが最善であるかを実質的に判断しているのであって、「ただ母親だから」という形式的な事柄で親権の所在を判断することはしていないのです。
ただし、父母の親権者としての適格性が、優劣を付け難いほど拮抗している場合には、「母親である」ということそのものが重要な意味を持ってくることになります。この場合、多くは母親の側に親権の取得が認められることになります。
すなわち、「母性優先の原則」とは、父母の監護能力や経済状況といった子の監護に関わるあらゆる事情を比較検討した上で父母双方の監護環境の優劣=親権者の適格性を判断すべきところ、その判断がつかなかった場合にはじめて前面で機能する判断基準であると理解するのが正しいと言えるでしょう。

したがいまして、あなたが父親であるからといって、また、子どもが小さいからといって、親権の取得を諦める必要はありません。
あなたが、子どもに対し深い愛情をもち、そして、「あなたの」ではなくあくまで「子どもの幸せ」にとって最善の監護環境を用意することができるという確たる自信をもっているのであれば、父親であるということに負い目を感じることなく、積極的に親権を主張していくべきでしょう。

次回は、実際に、家庭裁判所はどのような判断をしているのか、親権に関する事例を紹介する予定です。